干菓子と深蒸し茶
戦前と戦後しばらくはさまざまな菓子を見本箱に入れ、得意先を回って注文を受けるのを常としていたそうであるが現在は生菓子だけはやはり注文。
干菓子は常時店にそろえてある。
この店で楽しみたいのは、凝った細工が美しい有平糖や生砂糖。
甘さをおさえ、淡い色を基調にして、自然を中心にしたものを具体的にではなく、しかもそれらしく表す手仕事の技術は伝統そのもの。
数多く作れないのも無理ない。
深蒸し茶によく合う春の干菓子。
秋の吹き寄せと同じように、春は野辺の花々や土筆、また桜、胡蝶などを、美しく、楽しく盛り合わせる。
桜と筏の打ち物と、すみれ、たんぽぽ、土筆などの有平を取り合わせたもの。
器は、若菜摘みの手付籠などを使って盛り入れてもかわいく春らしい。
(亀広保)