花のお菓子たち

花見団子
薯蕷饅頭を渦の形にまとめ、うっすらと水色に染めぼかしたもの。

ぬるんだ水がそよぐ風などに揺れて静かに輪を広げていく穏やかな光景が想像される。

(末富)

花の水
薯蕷饅頭を渦の形にまとめ、うっすらと水色に染めぼかしたもの。

ぬるんだ水がそよぐ風などに揺れて静かに輪を広げていく穏やかな光景が深蒸し茶を飲みながら想像される。

(末富)

花くれない
緑色と薄紅色の染め分けに仕上げた黒餉入りの金団で、紅餅種になっている。

花は紅、柳は緑ということばから四月に好まれ、春の美しい景色を思わせる。

(鶴屋吉信)

嵯峨の春
嵯峨野は春の桜、秋の紅葉とその美しい風情を愛でられる。

嵐山の桜、大沢の池の桜と遠目には雲と見まがうほどの美しさである。

薄紅の道明寺皮に仕立て、氷餅の粉をまぶしている。

春の色合いが、ほのかにうかがわれる。

(川端道喜)

春を感じながら…

若草
鮮やかな色彩と求肥の柔らかい口当たりが、春の萌える新緑を連想させる。

松平不昧公が一月から四月茶席に用いられた。

銘は公の歌による。

「山川」と並ぶ松江名菓。家にある深蒸し茶とあわせて楽しみたい。

(彩雲堂)

青丹よし
「あおによし」とは奈良の枕詞であり、『万葉集』にも有名な歌がある。

四国の和三盆と葛粉を緑と紅の二色にして、白い雲を散らした短冊形の打ち物である。

(午代の舎竹村)

木の芽薯蕷
空も大地も明かるく百花練乱のこの月には、花を銘としたものが多いが、つややかな自い肌の薯蕷饅頭の上に木の芽を飾った端正な姿は際立つ。

木の芽は山椒の若芽で香りがよく、季節の風味を漂わせる。

見るからに、萌え出つる生命力をひしひしと感じさせてくれる。

(鶴屋吉信)

水山吹
軽葵の黄色地で上下をはさみ、中央に若緑の羊葵を入れている。

この菓子の原型は古くから伝わっているもので、小川の端に咲く山吹の花が連想される。

(鶴屋吉信)

午後と言えば…

最近、お茶にはまっています。

深蒸し茶に合いそうなお菓子を買ってみました。


貝尽くし
桜貝、帆立貝などさまざまな貝殼が、春の浜辺に打ち上げられて陽に輝く。

有平で色も形もとりどりに作られたかわいらしい干菓子で、雛の節句の取り合わせに。

(亀広保)

金平糖
金平糖の語源は、イスパニア語のコンフェイトス。

南蛮菓子の一つとして長崎に伝えられたもので、糖花ともいわれる。

幕末から明治末期にかけて文明開化の菓子の王様とまで称せられる全盛時代が来て、茶菓子としても用いられるようになった。

振り出しなどに入れ、野点に用いるのにふさわしい菓子。

蝶・すみれ
蝶は形を変えて春にはたびたび使われる。

黄色の打ち物で、伸びやかな姿。

取り合わせは有平のすみれ。

春の野ののどかさが感じられる楽しい取り合わせ。

(亀広保)

桜・若草
桜は薄紅と白を混ぜ入れた押し物。

若草は緑に萌え立つ野辺を想像させるようなこれも押し物。

ともに色で銘を表現したもの。

角と丸の取り合わせもおもしろい。

(鶴屋八幡)

伝統の…

江戸安永年間(一七七二~七八)、諸大名が公卿や将軍家に献上した上菓子を扱った誇り高き上菓子仲間だった初代から現在の五代まで、この店の当主は独自の創意を菓子のうえに重ねてきたわけである。

現在は茶席の菓子はもちろんだが、深蒸し茶にあうような祝い事や土産用の菓子も多い。

いずれも、現代感覚を取り入れた新作に、毎年意欲を燃やしている。

胡蝶
うらうらと照る春の陽のなかを舞い踊る蝶の姿はまことにのどかなもの。

蝶はその姿のしなやかさ、舞い踊るさまの可憐さからか、寒さに閉ざされがちだった心を和ませる。

外郎皮で白餡を包み、折り畳んだ形は、蝶がしばし羽を休めているようである。

(鶴屋吉信)
菜花の月・早蕨
菜花の月は黄色に染めた煎餅。

味噌餡をはさんで春の野辺の朧月を連想させる。

取り合わせは緑色の州浜製で、芽ぶいたばかりの蕨をかたどったもの。

(亀屋伊織)

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